「両親はとっても忙しそうです。学校のテスト結果について、両親に話すのと友達に話すのとでは、全然違うんです。もし私が『見直しが足りなかったの』と言ったら、お母さんなら『まあ!次はちゃんと見直しなさいよ!』と言います。でも友達だったら、どうして私が心配になって騒いでいるのかも、何度見直しても安心できないと言うことも、ちゃんと理解してくれるんです。友達は、私と同じような生活を送っているから、だからとっても大切な存在なんです。」
ジェシー、14歳、メキシコ
「私には親友が5人いて、そのうち3人は中学校のときから、残りの2人は高校で出会いました。 友達は、両親の次に近い存在です。姉が1人いますが、私よりずっと年上の24歳なので、生活スタイルは私とは全然違います。 友達は姉妹みたいなもので、ほとんどの時間、友達が私の家にいるか、私が友達の家にいます。 そして週末は泊まることもあります。
私の両親も、友達を自分の娘のように見てくれているし、私も友達の家でそういう風に見てもらっていると思います。 これって本当にすばらしいことだと思います。周りの男の子たちを見ていて、男の子同士でこんな風に親しくしている子はいないから。
友達とは文字通りなんでも話します、家で起こったこととか、好きな有名人やバンドのこととか。 会話はとっても楽しいです。友情が壊れてしまうまでは…。壊れるのは、ある日突然どっかーんと…。 そうなったら、とっても悲しい。 仲直りできるまでは、何も考えられません。」
イサベラ、14歳、ブラジル
「中学生になると、まず友達グループを作ることから始まります。お互いにわかりあえて、居心地のいいグループです。だから、朝、登校したら、まずは同じグループの子を探します。私たちは全員で5人で、うち2人が同じ小学校の出身、残りの3人は違う小学校の出身です。普通に他のグループの女の子とも話はしますし、グループ同士でいがみあったりも全然ありませんが、でもやっぱり、私が一番一緒にいたいと思うのは、同じグループの女の子たちなんです。
私の両親も、友達を自分の娘のように見てくれているし、私も友達の家でそういう風に見てもらっていると思います。 これって本当にすばらしいことだと思います。周りの男の子たちを見ていて、男の子同士でこんな風に親しくしている子はいないから。
「友達グループの中で、1人1人役割があります。 私は仲裁役タイプなので、けんかをするとみんな私のところに来ます。他におもしろいタイプもいれば、頭のいいタイプもいます。誰かが友達グループから離れるときは、その人と同じようなタイプの友達をまた見つけるか、グループの中で誰かがその役割を担うんです。だって、おもしろい人やけんかの仲裁役は必要なので。」
ララ、11歳、英国
女の子たちにとって友達が大事な理由
今回話を聞いた少女たち全員に共通していたことは、友達関係は生活の中心にあるということです。この年齢では、通常3~5人と非常に親しくなり、その周辺に他の少女たちのグループが形成されます。
家族も大事ではありますが、友達は毎日の経験を共有できる存在です。
これは、生物学的にも必然性があってのことなのです。少女たちは、ホルモンの変化によって社交術が急激に身につくようになり、女の子同士の友情が安全であることを「熱望」するようになります。
友達関係をうまく維持するということは、思春期の少女たちが、そこに自分自身を投影し、自分がどれだけうまく人との関係を築けているかを知る際の基盤となるのです。
だから親として、お子さんと友達との関係を軽視してはいけないのです。 お子さんの友達関係を軽んじるようなことを言ったり、友達と過ごす時間が長いことを非難したりはしないでください。
時には(例えば、家族との食事時間にずっと携帯電話でメッセージを送りあっているときなど)、お子さんに注意しなければならないこともありますが、 お子さんにとって友達とつながっていることが非常に重要であるということも知っておいてください。
*プライバシー保護のため、ここで紹介している人物の個人名は、匿名にしています。しかし、掲載している話のすべては真実です。
女の子の友情: 専門家の見解
少女とその発達に関する著書をもつ心理学者ジョアン・ディーク博士によると、10代の女の子たちの友達関係について、親は「制御不能なくらい、子どもがのみこまれている」という風にとらえがちですが、女の子自身は「最優先事項」ととらえているとのことです。
専門家の中には、女の子の友達グループを「派閥」や「部族」と呼ぶ人もいますが、ディーク博士は「濡れた蝶の段階」だと考えています。 これまでは、少女たちは家族という「まゆ」の中にいました。それが思春期になって、突然その「まゆ」を失ってしまうのです。 わくわくしますが、同時に恐ろしくて不安定でもあります。
「まゆ」から出たばかりの段階では、羽は濡れていて破れやすい状態なので、自分自身を守るために、他の「濡れた蝶」に囲まれようとします。「少女たちは、集まり、同じように行動し、同じように話し、同じような見た目になることで、自分の身を守っているのです。」とディーク博士は語っています
心理学者タラ・クジノー博士は次のように話しています。「少女たちは、生まれつき人との関係を大切にするものです。 『似たような子と仲良くなる』ことで、ストレスも回避しているのです。 これは、特に女性が本能的にもつ生存戦略です。 この視点で、少女たちのグループを見てみると、 特に思春期初期の傷つきやすい時期の少女たちにとって、グループに受け入れられるというのは、自己肯定感を守る方法にもなるということが分かります」